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今回で『フェリス・ホイール』は終わりです
ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございます
できれば感想やアドバイスを貰えると次に繋げたいのでありがたいです

で、次はおそらくしつとら4のとあるサークルで書き下ろす予定です
それまではオリジナルの方に力を入れようかなと
気が向いたらここでハヤテの二次創作書くかも知れませんがw

というわけでSSをどうぞ



5.鳴らないゴング



 真っ暗。
 暗闇。
 闇に包まれた、何もない世界。
 ここはどこなんだろう。
 心では知りたがるけど、頭が働かないし、体が動かない。
 そもそも何故ここにいるんだろう。
 ああ、そうか。マフィアに襲われたんだっけ。
 じゃあ捕まって牢屋に閉じこめられたのだろうか。
 それとも殺されてしまって、あの世の世界なのかも。
 結局私は何もできない、普通の女子高生だ。
 だからハヤテ君を助けようと、試みることさえできなかった。
 ハヤテ君が側にいないと、勇気も出ない。
 弱い存在。あながちハムスターで間違ってないのかも。
 ごめんねハヤテ君……。
 ハヤテ君……。
 
 違う。
 そんなのただの言い訳だ。
 勇気とか、気持ち一つでなんとかなる。
 好きな人のためなら。
 ハヤテ君を守りたい。ハヤテ君に守られたい。
 ハヤテ君がいない世界なんて、滅んでるのと同じだ。
 でも、勇気だけで何とかなるのかな?
 私にもっと力さえあれば。
 逢いたいよハヤテ君――

「僕が力を貸してあげる」

 そんな声が聞こえた気がした。
 ハヤテ君――?


 私はその声で起きあがった。
「ハヤテ君!?」
 だけど目の前にはウサギのマスコットが、私を見下ろしていた。
 ああそうか、私は一瞬気を失っていたんだ。そして今からマフィアのマスコット達に殴られるんだ。
 ウサギのマスコットが顔を近づけてくる。肩に手を乗せてくる。
 終わるのかな?
 ハヤテ君にもう一度会いたかった。
 そう思うと、目の端が熱くなってきた。頬を水が伝う。
 ハヤテ君……ハヤテ君……。
 もう、涙が止まらない。
「ハヤテ君――」

「僕が力を貸してあげる」

 またあの声が聞こえた。
 すぐに周りを見渡したけど、ハヤテ君の姿どころか、気絶したナギちゃんとウサギのマスコット以外誰もいない。
 いや、私達を囲んでいたはずのマスコットと、マフィアの一人が見るも無惨にあちこらこちらに倒れているのだ。
 これはいったいどういうこと? もう私にはちんぷんかんぷんだった。
「大丈夫かニュ?」
 私はその声に心臓が跳ね上がるかというほど驚いて、すでに尻餅をついているのにまた尻餅をついたような体勢になった。
 いきなりウサギのマスコットがしゃべったのだ。
「な、な!」
「安心して、僕は味方。ナギお嬢様の遊園地のマスコット、ケレ・ナグーレちゃんだニュ☆」
 私は変な名前だとか、何故ここにいるのかなどの疑問を思うより、真っ先に安堵した。私達を襲わないんだ。味方なんだと。
「ナギお嬢様を虐める悪い奴らは僕が痛めつけてやったニュ☆」
「ありがとう、本当にありがとう」
 私はそれしか言えなかった。でもそれが全てだった。
「痛てぇ……くそ、ふざけやがって。おまえらさっさとやっちまえ!」
 いきなりマフィアが立ち上がったかと思うと、倒れていたはずのマスコット達がまるで墓場のゾンビのように次々に蘇っていく。
 マスコットには本当に中に人が入っていないんじゃないだろうか。
「懲りない奴らだな。トドメを刺してやるニュ!」
 いくら強いといっても、これだけの数を相手に大丈夫なのかな? さっきの戦いを見ていないのでまだにわかに信じがたい。
 でも、私には何もできない。
 それでも何か――あ、
「ハヤテ君!」
 そうだ、早くハヤテ君を助けないと。
「この場とお嬢様は僕に任せて、君はあの執事を助けに行くんだ」
「え、でも」
「大丈夫、君ならできるニュ☆」
 ケレ・ナグーレさんの心配だけじゃなく、私の最後の不安まで見透かされていた。
 ありがとう、本当にありがとう。
「ありがとう、ケレ・ナグーレさん!」
 ケレ・ナグーレさんは親指を突き立てる。
 私はダッシュで城の中へ向かう。ハヤテ君を助けるために。
 ありがとう。本当にありがとう。
 そして、今度は私が頑張る番だ。
 ただ、愛する人を守るために。




6.終止符を打てたら


 私達は出口を出て、ある場所へ歩き出した。
 もちろんそれは駅なんかじゃない。あの大観覧車へだ。
「ねえハヤテ君、最後に観覧車に乗らないかな?」優しいハヤテくんにはこれだけで十分だった。
 夢の国ということ忘れて欲しくないために、外の景色が見えないように観覧車は作っていないという遊園地。
 だから遊園地の横に観覧車を作るというビジネスが成立するのだろう。
 でも、そのビジネスに私は最大級に感謝しないといけない。
 ――今から、ハヤテ君に私の想いを伝える。
 なるべくハヤテ君と二人きりでいたいのと、少しでも告白するまでの時間を稼ぎたいという気持ちから、電車では無く歩いて向かうことにした。
 今思えば、この選択が全てを変えてしまったのかもしれない。





私はとにかく上を目指して登った。エレベーターを止められていたからだ。
普段の私なら、こんなに高い城を階段で登るなんてことは肉体的にも、精神的にも不可能だっただろう。
でも今の私は違った。息は絶え絶えなのに、不思議と疲れをほとんど感じない。
ハヤテ君を助けるために、走る。
さっき、私を助けてくれたハヤテ君を、今度は私が助ける。
あの時、私を助けてくれたハヤテ君を、今度は私が助ける。





不良に絡まれた。そう一瞬で理解した。
「おう、姉ちゃん可愛いね~。そんな弱そうな男とより俺たちと遊ばない?」
「西沢さん、下がってください」
 ハヤテ君が私の前に立ちはだかってくれた。
「お? なんだおまえやるのか?」
「ハヤテ君!」
「大丈夫ですよ、西沢さん」
 いくらハヤテ君が強いとはいえ、相手は四人もいるんだよ? 私は心配で堪らなかった。
「おらっ!」
 サングラスを掛けた男が殴りかかってきた。が、ハヤテ君は後ろに軽く跳んでかわした。
「なっ」
 男の体勢が崩れる。ハヤテ君はその瞬間を逃さず、前に行く力をバネにして男の胸を突いた。すると男はそのまま後ろ向きに倒れた。
 たぶん中学校の頃に男子がふざけてやっていた「失神遊び」とかいうソレだろう。
「なめるなよ」
今度は二人同時に襲ってきた。だがハヤテ君はひるまない。先頭で来た男の足をはらい、倒れたその男の足をつかんだ。そしてそのまま一回転しながら男を持ち上げ、ハンマー投げの要領で数回転したところで手を離し、後続の男に向かって投げた。見事なクリーンヒットだった。
ハヤテ君はものの数十秒で三人も倒してしまった。
 強い、強すぎる。圧倒的じゃないか我が軍は。





 着いた――
 のだと思う。階段が無くなってしまったからだ。
 立ち止まった途端、急に膝から崩れた。それに心臓がバクバクと音を立て、苦しくて荒い息を繰り返す。
 何段登ったのだろう。何十階登ったのだろう。
 私こんなに体力があったかな? 火事場のバカ力と言う奴だろうか。ハヤテ君を助けることに必死で気がつかなかった。
「そうだ、ハヤテ君を捜さないと」
 私は震える膝を何とか持ち上げ、手で叩いて気合いを入れ直した。
 でもいったいどこにいるのだろう。辺りを見回してみるが、薄暗くて良くわからない。ただ、声の反響具合からかなり広い空間に居るであろう事はわかった。
 とにかく必死になって最上階まで来たけど、本当にここにハヤテ君は居るのかな? 私は急に不安になってきた。
 だけど、ここにいる気がする。何故だか、そう感じる。だから、ここまで登ってきた。自然と足が奥へと向かった。
“ガシャ”
「痛っ」
 何かを足に引っかけた。何しろ薄暗くて前を見るのに集中していたのだ。下など見ている余裕は無かった。
 その何かを拾い上げようとしてみたが、かなり重たかった。何とか持ち上げたそれは、かすかな光で鈍く銀色に輝き、細長く、先端がとがっていた。
 剣だった。
 何故こんなところに剣が。私は後ろに目をやってみた。すると何かと目が合う。がっしりとした体で、目が空洞で、鈍く光っていた。
「ひっ!」
 あまりの恐怖に悲鳴を漏らす。甲冑だった。
 城を守る兵隊という設定で置かれているのだろう。心臓に悪いのでやめて欲しい。
「そこにいるのは誰だ!」
 その声にまたも恐怖した。
 声の聞こえた方をよく見てみると、二人の人影があった。声からしてマフィアと――
「ハヤテ君!」
 確かに、そこにハヤテ君がいた。麻酔で気絶しているせいか壁にもたれているけど。
 やっぱりここにハヤテ君がいた。
「その声は三千院の娘じゃないな? 変わりに金を持ってきたのか?」
 そう、薄暗いせいで、そこに人影があるぐらいにしかお互いに確認出来ない。
 でも私はハヤテ君のシルエットだけは見分けが付く。クラスメートの時、毎日一番見続けた姿だ。わからないはずがない。
「お金なんて、無い」
 そんなもの用意するはずがない。許さない。絶対に許さない。
「なら、この男は返せないな。そしておまえに用はない」
 男の方で何かが黒光った。ピストルだ。
 何とかしようと思った。何とかなると思った。でも肝心なことを忘れていた。相手は武器を持っていたんだ。
 最後の最後まで私は詰めが甘かった。物事は感情だけで解決できないんだ。
 どうすればいい? どうすればいいの?
 後一歩、一歩でハヤテ君に手が届くのに。
 もう悔しさなのか怒りなのか悲しみなのかわからない感情でぐちゃぐちゃだった。
 ハヤテ君――

「西沢さん、あの時を思い出して!」
 それは最後で最高の奇跡だった。ハヤテ君が目を覚ました。
 あの時? あの時――

“パアンッ”

「終わったな」
「西沢さああああん!」
「馬鹿な女だ、銃を持ってる相手に丸裸でくるなんてな」
「……バカはどっちかな?」
「何!?」
その瞬間、男が吹っ飛んだ。
私の渾身の拳がマフィアのアゴを貫いたんだ。
ハヤテ君が教えてくれた、あの護衛術で。

「ハヤテ君!!」
 私は次の瞬間にはハヤテ君に抱きついていた。そしてハヤテ君は抱きしめてくれる。
「ハヤテ君! ハヤテ君!」
 もう顔は涙でぐちゃぐちゃで、とても見せられなくて、ハヤテ君の胸に顔を埋める。
「良かった……ハヤテ君が無事で」
 本当に良かった。本当に。
「私、本当に心配したんだよ? でも怖かった、怖くて怖くて仕方なかった。だけど助けなきゃって、今私がいかないと何もかもが終わってしまいそうで。だから……だから……」
 その私の言葉の一つ一つに、ハヤテ君はただ、うん、うん、と優しく背中を叩きながら頷いてくれる。
 そのぬくもりが、本当に温かかった。
「ごめんなさい西沢さん。そして、ありがとうございます」
 ああ、この言葉が聞けて、ようやく私はここまできて良かったと思えた。私のしたことは間違いじゃないって思えた。
 人に認めて貰えるって事が、こんなに心地良いなんて。
「でも、良く『あの時』の意味がわかりましたね」
「忘れるわけないよ、あれもハヤテ君が私を守ってくれた大切な思い出なんだから」
 私は向こうに転がっている剣を見た。
 あれが私を銃弾から救ってくれた。
 そう、『あの時』のように――





 残りはリーダー格と思われる男一人だけだった。この圧倒的な状況を見て逃げ出すのかと思ったけど、そうじゃなかった。
「こいつ……、殺す」
 男は懐から鞘を取り出して抜き、銀色に輝く物を出した。ナイフだ。しかもその切っ先には凹凸がついている。ただのナイフじゃない。
 まさに人を殺るためのものだ。
「うおおおおおお」
 男がナイフを持ってハヤテ君に突進してきた。その目は殺意に満ちている。
「ハヤテ君!」
 私が叫ぶと、キインッと金属音が鳴り響いた。
 恐る恐るハヤテ君の方を見ると、辺りに落ちていた鉄のガラクタで男のナイフを防いでいた。途端ハヤテ君は男の腕をなぎ払いナイフを落とし、さっきまで私に熱心に指導してくれたアッパーを男のアゴに決めた。

 その後、不良を警察に突き出したり事情聴取を受けていたりしたら、すっかり夜も更け始めていて、観覧車の営業時間などとうに過ぎていた。
 私はあまりのショックに頭をかかえていたら、ハヤテ君が、
「また、次の機会に乗りましょうね」
 そう慰めてくれた。
 私の本当に落ち込んでいる理由なんて鈍感なハヤテ君にはわからないだろうけど、次があると言ってくれただけで無茶苦茶嬉しかった。
 そうさ、次があるんだ。チャンスはいくらでもある。
 まだ二年も同じ学校なんだから。
 その時私は、この幸せが永遠に続くとさえ思えていたんだ。




7.明日の向こう側に


「それで? その剣で銃弾を防いで、暗闇に紛れてマフィアに近づき一撃を決めたというのか。無茶苦茶だ、死んだらどうするんだバカハムスター!」
「な、バカとはなによバカとは」
 でもナギちゃんがそう言うのももっともだ。もし銃弾が上手いこと剣に当たらなかったら? 近づいているのがバレたら? 今になって思えば、本当に無茶苦茶だったと思うし、二度と同じ真似はできないと思う。
「お嬢様、命を張って僕を助けてくれた西沢さんに対してバカは失礼ですよ」
「ふん、ハヤテもハヤテだ。簡単にマフィアなんぞに捕まりおって。私の執事失格だぞ?」
「ちょ、お嬢様!」
「でも……ハヤテを助けてくれてありがとう、ハムスター」
 そう言うとナギちゃんはプイッと顔を背けてしまった。頬がうっすらと赤い。
 もう、素直じゃないんだから。
 私達は後のことをSP達に任せ、とっとと遊園地から出てしまった。SP達はやられた仕返しができるとやる気満々だった。あの様子だと、マフィア達は二度と日の目を見ることは無いかもしれない。
 私はケレ・ナグーレちゃんのことが心配だったけど、城の前にいたマスコット達は全て縛り上げられ、のびていた。
 感謝してもしきれないお礼を言いたかったけど、姿はとうに無かった。まあ、ナギちゃん家の遊園地にいるということらしいから、いつか機会があればその時に。
 いろいろあった。ありすぎた。
そして今は向かっている。
 観覧車へ――

 空はすっかり夕闇に染まり、そのあかね色の空が心をざわつかせる。ああ、今日も終わってしまうんだなと。
 ほんのりと潮風の匂いがし、髪がゆれて鼻をくすぐる。
「おお、これはなかなか大きいな」
「真下からだと迫力ありますね~」
「うん、私もビックリだよ」
 そう、私達はあの大観覧車の下にいる。ついに、ついにハヤテ君とここに来たんだ。ナギちゃんも一緒だけど。
 そうだ、結局第五戦はいざこざのせいでお流れになったから、二対二の同点なのだ。観覧車に来たはいいけど、いったいどうするのだろうか。
「ハヤテ、おまえハムスターと二人で乗ってこい」
「え?」
「ちょっとお嬢様、どうしたんですか?」
 あまりに予想外なナギちゃんの言葉に戸惑った。あんなに自分勝手だったナギちゃんが。
「一応ハヤテを助けてもらったからな。ハムスターにはそのご褒美だ。べ、別にヒマワリの種でも良かったんだけどな!」
「ナギちゃん……」
 私は正直もの凄く嬉しい。念願の観覧車に、あの時たどり着けなかった観覧車に、ハヤテ君と二人で乗れる。そして、あの時言えなかった言葉を伝える。それが叶う。
 だから私は――
「いいよ、ナギちゃんも一緒に乗ろう」
 だけど私は、もうその言葉は伝えてしまっている。ハヤテ君と二人きりで乗りたいなんて、それはただの私の欲望だ。
 それにハヤテ君を助けたのは、私が勝手に守りたかったから。ハヤテ君の世界を、ナギちゃんの世界を、そして私自身の世界を。
 だから勝負とは全く関係ない。
 ナギちゃんとは、正々堂々と戦い続けたい。今も、これからも。
私達は赤い大きな観覧車に乗り込む。プレートを見ると八十六番と書いてある。
 ドアがバタンッと音を立て閉められる。観覧車が動き出した。
 十七分間が始まる。
 その時間が永遠になる日が来ることを願いながら。

「そういえば、結局流れちゃったけど第五戦は何をするつもりだったの?」
「ああ、あのツンデレラ城のてっぺんからヒモ無しでジャンプをし、ハヤテはどちらを受け止めるかを競う真剣一本勝負だ」
「えええええ」
 流れて良かった。ありえない。ありえなすぎる。というかもはやアトラクションですらないし!
「それ受け止められなかった方は死んじゃうよ!」
「大丈夫だ、ハヤテなら同時に二人とも受け止めてくれる」
「それ人間業じゃないですよ」
 それって、決着着いてない……。
「あ、頂上に着きますよ」
 そんなハヤテ君の声が聞こえたのは、夕日が水平線上に沈んだ瞬間と同時だった。
「綺麗だね」
「綺麗ですね」
「綺麗だな」
 それは本当に綺麗な光景だった。水面がキラキラと輝いている。
 まるで私達の未来みたいだった。
 なんてね。





 今、歩いている影は二つだけだった。すっかり夜になっていたから、街灯のかすかな光りで。
 ナギちゃんが「私は疲れたから車で帰る。ハヤテはハムスターを送ってやれ」なんて最後まで気を利かせてくれたからだ。
 だから今、私とハヤテ君の二人きり。別に良いのに。
 いや、飛び上がるほど嬉しいんだけど。
 さっきの観覧車だって格好付けたけど、やっぱり二人で乗りたかった。
「今日は楽しかったね、ハヤテ君」
「ええ、とっても楽しかったです。西沢さん、今日は本当にありがとうございます」
「ふふ」
 私はつい笑みがこぼれる。
「あの時と一緒の会話だね」
「そうですね、あの時と一緒です」
 なんて会話で私達は笑いあった。本当に幸せな時間だ。
 だから、言ってしまおう。あの時観覧車で言いたかったことを。
「ハヤテ君」
「ん、なんです?」
「私は、あなたのことが好きです、大好きです」
 私は自然と明るい、優しい声が出た。告白であって、告白じゃないからだ。
「凄く、もの凄くその気持ちは嬉しいです。でも、僕はお嬢様に借金の肩代わりをしてもらっています。だから返済しきって、甲斐性を持つまでは女の子と付き合う資格は無いんです」
 それを意図してくれたのか、ハヤテ君は少しだけ寂しい顔で、でも優しくそう答えてくれた。
 資格がないだなんて、相変わらず女の子みたいな考え方の、だけど予想通りの答えが返ってきた。
 私は用意していた言葉を放つ。
「じゃあ、それまで待っていても良いかな?」
「……長いですよ?」
 そんなことわかっているし、きっとそうなんだろう。何十年もかかるだろうし、そのころきっと私はおばさんだ。
 だけど――
「うん、待ってる。ずっと、ずっと待ってます」
「じゃあ、その時はよろしくお願いします」
「ふふ」
「はは」
 私達は、嬉しくて、恥ずかしくて、もう笑うしかなかった。
 こんな話を聞いたら、きっと友達は馬鹿にするだろう。そんないつになるかわからない事のために人生を棒に振るなんてって。
 確かに決して楽じゃない、一筋縄ではいかない人生になるんだろう。
 でも、それで良いんだ。
 一人の人を好きで居続けられるって、きっと一番幸せなこと。
 だから、私は待つよ。
 その日が来ないかもしれないけど、待つよ。
 きっと、それが私の人生そのものなんだろうから。




エピローグ.日常


「いけない、完全に遅刻だ」
 私は目覚ましを寝ぼけて切ってしまい、お母さんに怒鳴り起こされた。
 自慢のMTBを軽快に走らせる。自分でも惚れ込むほどのスピードが出ていた。
「これならギリギリ間に合うわね」
 だけどそのちょっと良い気分をあっさり捨て去るほどの猛スピードで、抜き去る一台の自転車があった。
キキッ
「あれ、西沢さんじゃないですか」
「は、ハヤテ君!」
「朝からハムスターの顔を見るとは、今日は最悪の一日に違いない」
 後ろの荷台にナギちゃんがちょこんと乗っていた。ハヤテ君の背中にがっしりと掴まって。
「羨ましいだろ? ハムスター」
「うう」
 羨ましいなんてレベルじゃない。私もハヤテ君と二人乗りしたい。
「まあハムスターには百年早いさ」
 ああ、日常だ。休日の非日常が嘘だったみたいだ。
「まあせいぜい一人で楽しく登校してくれ、行くぞハヤテ」
「わかりました。それでは西沢さん」
 ふと目線が合い、思わずお互いに顔をそらしてしまう。たぶん二人とも顔が赤い。昨日の今日あんなことがあったからだ。
「おい、何ハムスター相手に顔を赤らめているのだ! 許さんぞハヤテ」
「痛てて、お嬢様やめてください」
 ああ、少しだけ日常が変わったのかもしれない。
 でも、それが日常になる。
 空を見上げてみると、今日も変わらずに青さが広がっていた。

「そういえば時間は大丈夫なのかハムスター?」
「ああ!!」
 私は自転車を急いで走らせる。
 いつもの朝が始まる。



了.

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2008/12/20 02:26|小説TB:0CM:1

コメント

>「安心して、僕は味方。ナギお嬢様の遊園地のマスコット、ケレ・ナグーレちゃんだニュ☆」
お前かよ!!
つい全力で突っ込んでしまいました。

1~4話一気に読みました。
率直に言って・・・・すごく面白かったです。
特に西沢さんの言動などは、不自然な所が全くありませんでした。
愛ゆえですね。
ただひとつだけ言わせて頂くと、ナギとハヤテの言動には若干の不自然さがあったように感じました。
なんか「ハヤテは『ナギがハヤテのことが好き』ということ理解し、ナギを『女の子』として見ている」
「ナギは『ナギがハヤテのことが好き』ということを恥ずかしがる事無く前面に押し出している」
と言うふうに受け取れました。
ハヤテの(ナギに対する)鈍感さや、ナギの(ハヤテに対する)空回りが見れなかったのは少し残念でした。
なので僕は、「これはハヤテとナギの間の誤解の一部または全部が解け、ナギがハヤテに告白し、ハヤテがそれを断り、ナギはそれでも諦めない事を伝え、ハヤテがナギを『女の子』として見始めた、少し未来の話」という設定を勝手に付け加えて読んでいました。
何にしても楽しませて頂きました。ありがとうございます。
次はハムヒナが見たいかな~とか言ってみる。
以上、(出番が無かったのでちょっと悔しい)ヒナ派の名無しでした。長文失礼致しました。

名無し #MoloTynQ|2008/12/20(土) 20:33 [ 編集 ]

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